養老町 建設課
(左から)小島様、村田様、久保山様
養老町では、「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」(令和2年 10 月策定)に基づき、「自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、町民の利便性を向上させる」 DX支援に取り組んでいます。
その一環として、養老町は「養老Pay」アプリを活用したSmart Town YORO Project事業を開始しました。
自家用車を持たない高齢者などの貴重な生活交通手段であるオンデマンドバスでは、「養老Pay」アプリを利用者証として使用でき、運賃の支払いも可能です。「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現に向け、養老町独自のDX施策を推進しています。
「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」※1を活用した養老町独自のスマートフォン決済サービス「養老Pay」のユーザー向けアプリです。
※1 GMOペイメントゲートウェイとGMOデジタルラボが提供する、自治体や事業者が発行する紙の商品券をデジタル化できるサービスです。
解決したかった課題について
今回の機能拡充で、解決したかったことは何ですか?
養老町様:
町では、平成24年11月まで定時に所定のルートを運行する公共施設巡回バス「ゲンちゃん号」を運行していました。10年ほど前に廃止し、町民の皆様の予約内容に応じて運行時間やルートが決まるオンデマンドバスを導入しました。当初は電話予約のみでしたが、時代の変化に対応する目的で、令和4年から専用ウェブサイトからのネット予約を開始しました。しかし、利用率はなかなか伸びず、電話予約に対応するオペレーターを増員していました。
現在はスマートフォンが普及しており、起動後に予約画面までの導線が分かりやすく、タップ操作で進められるアプリのほうが利用者にとって手間が少ないと判断し、今回「養老Pay」アプリに予約機能を追加しました。また、乗車時にオンデマンドバスの利用者証としても使用でき、さらに運賃の決済※2も可能になりました。
※2 『モバイル商品券プラットフォーム byGMO』で発行された、養老町独自の電子マネーや電子商品券の残高からお支払い(決済)が可能です。

導入後の効果について
「養老Pay」アプリの浸透度はいかがでしょうか?
養老町様:
着実に浸透していると思います。
オンデマンドバス対応前からプレミアム付電子商品券で3年間使用していますが、初めての方からのお問い合わせが大幅に減りました。利用人口が増えているため、周りの方に教えてもらって使い始めているのではないかと思います。
プレミアム付商品券に関しては、商工会様が管理されています。商工会事務局様からは、紙と比べて集計や換金の業務が大幅に減るため、できれば全てをデジタル版にしたいとお聞きしています。しかし、紙ならではの利点や加盟店の事情もあるため、完全に移行するのは現段階では難しいようです。
オンデマンドバスの利用に関して、変化や改善はありましたか?
養老町様:
昼間の時間帯は高齢者の方が多いですが、巡回バスがないため、大学生で通学に使われている方もいらっしゃいます。ただ、運行時間が8時半から17時までなので、ある程度利用が限られています。
今回、オンデマンドバスの利用者証をアプリで表示できるようになりましたが、普段からネット予約を使われている方がアプリ予約の利用申請をされました。町側としても初めての対応でしたが、問題なく登録できました。
また、夜中や早朝の時間帯に操作されている方もいらっしゃいます。町民の皆様がご自身の生活スタイルに合わせて24時間いつでも予約できるところがいいですね。
これまでのブラウザからの予約は操作が多く、高齢者やインターネットに不慣れな方には「難しい」と思われがちでした。「養老Pay」アプリは、起動後にすぐに予約画面に遷移でき、その後はタップ操作で進められますので、デジタルに慣れていない方でも使いやすいと思います。



オンデマンドバスの利点について
- 柔軟性と利便性
巡回バスとは異なり、利用者が希望する時間と乗車ポイントを指定して予約できます。 - 地域社会への貢献
地域に必要不可欠な公共交通システムとして、町民の生活の質を高めます。 - 技術の活用
GPSやAIを活用した最適ルートの設定により、運航効率が上がります。
今後の展望について
今後の展望や活用予定についてお聞かせください。
養老町様:
具体的な促進施策はまだ検討中です。好評だったプレミアム付商品券のような、お得感のあるイベントや施策と組み合わせることが効果的なのではと考えています。
本当に、なるべく早くもっと多くの町民の方に、オンデマンドバスや「養老Pay」アプリ予約のメリットを知っていただきたいです。時々、予約時間を忘れてしまった方から電話でお問い合わせが入ることがあります。アプリなら電話をかける手間も省け、即座にご自身で確認できます。このような利便性をぜひ実感していただきたいです。
今後は、「養老Pay」アプリという馴染みのあるツールを通じて、オンデマンドバスの利用がさらに広がっていくだろうと考えています。現在の50~60代の方々は自家用車を持っているため、今はあまり利用に積極的ではないかもしれません。ですが、スマートフォンにも慣れている方が多い年代ですし、オンデマンドバスを目にする機会が増えることで記憶に残り、年齢が上がった時に抵抗なくご利用いただけるようになるでしょう。
現在のオンデマンドバスの運行区域は養老町全域に限られていますが、将来的にはひとつの町で維持していくのは難しくなるかもしれません。例えば、広域で公共交通システムを考える動きが出た際には、近隣の自治体で同じシステムを使ったペイアプリを共同利用し、決済が自動的に分配される仕組みなどができれば、とても便利です。利用者の視点から見ても、町や市の区分けなく共通で使えることが理想的だと思います。


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