API連携とは、ソフトウェアやアプリケーションの機能を連携させる仕組みです。APIはインターネット上で提供されて、さまざまなWebサービスで活用が進んでいます。しかし、API連携の仕組みに関しては、完全に理解できていない人もいるのではないでしょうか。
APIとは異なるソフトウェア同士をつなぐ機能
APIとはApplication Program Interfaceの略で、アプリケーション同士をつなぐインターフェースです。インターフェースとは「接点」や「境界面」といった意味で、マウスやキーボードなどのハードウェアやソフトウェアを接続する、機器や規格を指します。
API連携とはソフトウェア同士でデータを共有する仕組み
API連携とは、APIを利用してソフトウェアやアプリケーション同士の機能を連携させることです。API連携で自社のアプリケーションに他社アプリケーションの機能を連携させることで、アプリケーションをゼロから開発する必要がなくなります。
API連携の仕組み
API連携は、API利用者からのリクエスト(要求)と、API提供者のレスポンス(応答)で成立します。リクエストに対するレスポンスには、API提供者によってルールが設けられています。
API連携の仕組みをレストランに例えると、「来店客=API利用者」「フロアスタッフ=API」「調理スタッフ=API提供者」です。顧客(利用者)からのオーダー(リクエスト)は、フロアスタッフ(API)を介して調理スタッフ(提供者)に伝えられ、出来上がった料理が客に届けられます(レスポンス)。
このように、異なるソフトウェアやアプリケーションが、APIを介して情報の受け渡しをしたり共有したりするのが、API連携です。
API連携によって得られる5つのメリット
開発を効率化できる
API連携をすると、システムやサービスを開発せずに機能を導入できます。そのため、開発工数を大きく削減できたり、実装の手間を省けたりするのに加え、ユーザーの利便性も高められます。
たとえば、売り上げのデータと販売管理システムを自動連携させると、入力作業の自動化ができて、作業の省略化が図れます。
コストを削減できる
API連携を活用して開発を効率化すると、時間や費用の軽減につながります。空いた時間や費用は、ほかの業務や工程に回せるでしょう。
また、インターネット上には多くのAPIが無料で公開されており、自社では開発できない機能の導入が可能です。機能の実装を外注せずに済むため、費用を節約できます。
セキュリティを高められる
APIを提供している企業では、情報漏えいに対するセキュリティ対策をとっているのが一般的です。強固なセキュリティを備えたサービスとAPI連携すれば、自社でセキュリティ認証を構築する必要がありません。
手続きを電子化できる
行政サービスにAPI連携を利用することで、手続きの電子化が可能です。API連携を利用して手続きを電子化すれば、ユーザーが書類を作成したり、窓口に出向いたりする時間や労力が削減できるため、満足度の向上にもつながります。
また、クレジットカード決済やバーコード決済などと連携すると、振込の手間も省けます。
顧客満足度が高まる
API連携により、サービスの利便性が高まります。たとえば、SNSやGoogleのアカウントと連携すれば、ユーザーは登録やログインが簡単にできるようになります。ECサイトであれば、複数の支払い方法の設定や、在庫や配送状況をリアルタイムで確認できるようになります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上は、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
API連携のデメリット(注意点)
サービスがAPI提供会社に依存する
API連携をすると、情報は提供元の企業に依存します。そのため、提供元の企業が、サービスの停止・終了をすると、自社のサービスに不具合が生じたり、サービスが利用できなくなったりする可能性があります。
API提供会社の影響を受けないように、自社サービスの核となる部分を確立することが重要です。そのうえで、自社に不足している機能をAPI連携で補いましょう。
費用がかさむ可能性がある
APIの利用はすべてが無料ではなく、一部は有料で公開されています。また、無料で公開されていたAPIが有料化したり、利用料が値上がりしたりする可能性があります。
API連携で得られるメリットが大きい場合は、有料化や値上げの額によって、臨機応変な対応が必要です。
サーバー障害への対処が難しい
他社のサービスを使用していると、連携元のサーバーに障害が発生した際の対応が困難です。自社のサービスが利用できなくなったり、連携に失敗してデータが取得できなかったりするリスクが挙げられます。
サーバー障害が発生する前に、さまざまなケースを想定し、対応策を検討しておきましょう。
API連携の実装方法・手順
API連携を実装する手順は、以下のとおりです。
- 実装する機能や目的を明確化する
- 提供を受けるAPI会社に登録する
- APIキーとシークレットを取得する(※)
- 提供側ソフトウェアにAPIキーとシークレットを登録する
- 仕様書に従って実装する
なお、登録に審査を必要とするAPIもあります。審査期間は3日から1週間以上と幅があるため、事前に調べてから開発スケジュールを設定しましょう。
API連携の活用事例3選
よく知られているサービスにおいても、API連携の技術が活かされています。Web APIの多くは費用がかからないため、個人のSNSでも頻繁に利用されています。
ここでは、具体的な活用例として、以下の3つについて詳しく解説します。
- Google Mapを利用し、Webページに位置情報を表示するシステム
- SNSの投稿記事やログイン機能とWebサイトの連携機能
- 決済代行サービスAPIによるショッピング機能(API型決済)
Google MAP
「Google Maps API」を活用することで、自社のWebサイトやアプリケーションに、Googleマップのさまざまな機能を組み込めます。
代表的な機能としては、WEBサイト上に店舗情報などのGoogleマップを反映することが挙げられます。また、現在地や地図、ストリートビューなどの表示や、ルート検索なども可能です。
SNSへのログイン
API連携により、InstagramやX、Facebook、LINEといったSNSのアカウントを利用して、Webサイトやアプリケーションにログインできます。
SNSに登録済みのアカウント情報を使うため、ユーザーはIDやパスワードの新規登録をする必要がありません。簡単に登録やログインができることで、サービスの拡大が期待できるでしょう。
ECサイトの決済
カード会社などのAPIを活用した決済システムを導入しているECサイトが増えています。理由としては、安全性を確保できるレベルのセキュリティ対策を、自社で構築するのが難しいことが挙げられます。
API連携により、自社開発・構築の労力を省いて、安全性と信頼性の高い決済機能を実装できます。
まとめ
API連携の活用は、難しく感じられることがあるでしょう。API連携に困ったときには専門のサービスに相談することをおすすめします。