ポイントシステムを導入するメリットや手順、導入企業が多い理由を解説

ポイントシステムとは、来店や商品購入に応じて顧客へ付与するポイントを管理するためのシステムです。ポイントサービスを提供している企業の多くが導入しています。

この記事では、ポイントシステムの種類、メリット、成功のポイントなどについて解説します。導入の手順や費用の目安についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

ポイントサービスとは

ポイントサービスとは、企業が定めた条件に応じて顧客へポイントを付与し、ポイントを貯めた顧客が特典を受けられるサービスです。企業によっては、ポイントプログラムやポイント制度と表現している場合もあります。

ポイントサービスの仕組み

ポイントサービスは、購入金額に応じて一定のポイントを付与する仕組みです。ポイントの資金は企業が負担しています。

ポイントを付与する方法は、紙のカード、磁気カード、アプリなどです。いずれの方法でも、ポイントサービスの運用や管理にはポイントシステムが役立ちます。

ポイントサービスの種類

一定の条件に応じてポイントを付与するポイントサービスには、共通ポイントと自社ポイントがあります。それぞれの概要について以下で解説します。

共通ポイント

共通ポイントとは、複数の企業や店舗で同じポイントを貯めたり使ったりできるサービスです。異なる企業や店舗で同じポイントを扱っているため、貯めた企業や店舗以外で使っても構いません。共通ポイントは、運営会社がポイントシステムを構築して管理しています。

自社ポイント

自社ポイントとは、特定の企業や店舗でポイントを貯めたり使ったりできるサービスです。自社店舗や特定の店舗のみで利用できます。自社で管理できるため、独自のルールも設定できます。また、交換可能な景品の自由度も高めです。

多くの企業がポイントサービスを導入している理由

商品、サービス、広告だけでは競合他社との差別化が困難になっています。ポイントサービスの狙いは、顧客満足度の向上や関係の強化などです。顧客の行動やロイヤルティに応じたポイントの付与やユニークな施策などにより、顧客をファン化できる可能性があります。

ポイントシステムとは

ポイントシステムとは、顧客に付与するポイントを適切に管理するためのシステムです。ポイントについて「貯める」「使う」「残高の管理」などのサービスを提供するには、ポイントシステムを導入する必要があります。

ポイントシステムの種類

ポイントシステムには、オンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミス型は、社内のサーバーでシステムの管理や運用を行うタイプです。一方、クラウド型は、インターネットを経由し、クラウドサーバーで提供されているシステムを利用するタイプです。

ポイントシステムを導入するメリット

ポイントシステムを導入すれば、さまざまなメリットがあります。以下でくわしく解説します。

顧客情報の分析に役立てられる

ポイントシステムがあると、ポイントサービスを通じて得られた顧客の年齢、居住地、職業などの情報の蓄積、集計、分析がしやすくなります。これにより、顧客に合わせた最適なマーケティング施策を実現可能です。なお、ポイントの付与を条件にアンケートの回答を促せば、より多くの顧客情報を集められます。

現代ではプライバシーが重視されているため、顧客が自ら企業へ情報を提供するゼロパーティデータがマーケティングの軸になっていくと考えられます。

顧客にきめ細やかなプロモーションができる

ポイントサービスと他のサービスを組み合わせた場合、より高い効果を期待できます。たとえば、「〇円以上でポイント2倍」や「毎月〇日はポイントの還元率アップ」といった施策を取り入れると間接的な販促プロモーションになり、購入単価が向上する可能性があります。

ポイントシステムを導入すれば、施策の効果検証や改善も容易です。また、顧客情報も蓄積できるため、きめ細やかなプロモーションを実現できます。たとえば、顧客の誕生月に特別なポイントを付与しているケースも多いです。

優良顧客の育成ができる

ポイントシステムにより、顧客の利用状況を簡単に可視化できます。常連の顧客や利用頻度の低い顧客の把握も可能です。たとえば、常連の顧客にクーポンを配布すると、優良顧客（ロイヤルカスタマー）の育成につながります。

優良顧客とは、頻繁に多くの商品を購入し、1回あたりの購入金額が高い顧客のことです。一般的に、優良顧客は全体の上位2割のみですが、店舗の売上のほとんどを占めています。よって、店舗の売上を向上させるには、優良顧客の来店頻度や購入単価を上げる必要があります。

ポイントシステムを導入するときの注意点

ポイントシステムを導入する際は気をつけたいことがあります。具体的な注意点について解説します。

タイミングを検討する

ポイントをいつ付与するか決めましょう。ECサイトの場合、注文時や商品出荷時などポイントを付与するタイミングを選択できます。タイミングによっては、顧客がポイントを付与された実感をより得やすくなります。ただし、早めにポイントを付与すると、キャンセルや返品の際に取り消しが必要です。

従業員の業務負担に注意する

ポイントシステムの導入に伴い、従業員の負担が増加する可能性もあります。たとえば、システムの操作や不明点の問い合わせに手間がかかる恐れもあります。従業員の負担を過度に増やさないよう、注意が必要です。

目的を明確にする

ポイントサービスの目的を明らかにし、ポイントシステムの提供会社にも共有しましょう。ポイントサービスの目的は、顧客単価の上昇やリピーターの獲得などさまざまです。目的にズレがあるとポイントシステムを使いこなせない恐れがあるため、よく確認しましょう。

ポイントシステムの選び方

ポイントシステムを選ぶ際は、何を基準にすればよいのでしょうか。ここでは、ポイントシステムの選び方について解説します。

ポイントの種類から選ぶ

ポイントシステムによって扱っているポイントの種類はさまざまです。また、顧客情報をデータベースに登録できたり、アプリだけでなく紙の会員証にも対応していたりするシステムもあります。選択肢が多いと顧客の利便性も高まります。

ポイントシステムの機能から選ぶ

自社にとって必要な機能を備えているポイントシステムを選びましょう。たとえば、購入時だけでなく、ログイン、来店、誕生月などさまざまなタイミングでポイントを付与できるシステムなら、顧客との接触機会を増やしやすくなります。

外部との連携から選ぶ

実店舗のPOSシステムとECシステムと連携できるポイントシステムなら、業務の効率アップを実現できます。また、ポイント特典交換システムを利用するとポイントの使い道が増え、顧客にとって便利になります。

ポイントシステムを導入する手順

ここでは、ポイントシステムを導入する際の流れについて解説します。

1.設計をする

まずは、自社がポイントシステムを導入する目的や課題を明らかにしましょう。そのうえで、ポイントシステムの要件、費用、コストなどを洗い出します。また、ポイントを付与する条件やポイントサービスの基本的なルールについても設定します。ポイントの有効期限や還元率など、ポイントに関する詳細についても決めておきましょう。

2.機能を決める

ポイントシステムには、顧客管理機能、外部システム連携機能、キャンペーン機能などさまざまな機能があります。業種や業態によっても必要な機能は異なります。自社のポイントシステムに必要な機能を検討し、決定しましょう。また、会員の規模も考慮し、問題なく対応できるかどうかも確認する必要があります。

3.構築方法を選ぶ

ポイントシステムの構築方法としては、スクラッチやパッケージがあります。スクラッチは、企業の業務に応じて1からシステムを構築する方法です。それに対してパッケージは、標準的な業務を想定して作られたシステムを活用する方法です。パッケージでも、ある程度はカスタマイズできる場合もあります。

ポイントシステム実装の選択肢にはアプリもある

ポイントシステムの機能を搭載しているアプリを導入すれば、顧客満足度の向上を期待できます。ポイントカードを紙からアプリに切り替えると、コスト削減や利便性の向上にもつながります。

また、アプリの起動やユーザーの誕生日などを条件としてポイントを付与する機能を搭載し、利用率やリテンションレート（顧客維持率）の改善を目指すことも可能です。さらに、CRM機能を利用して集めたデータをもとにすれば、一定の条件を満たすユーザーのみにクーポンを配布できます。

ポイントシステムを成功させるために

ポイントシステムの導入を成功させるには、ポイントがあります。以下でくわしく解説します。

事前に告知する

自社がポイントシステムを導入しても、顧客に周知しないと利用者は増えません。そのため、ホームページや店舗などの目立つ部分で積極的に告知しましょう。利用者を増やすには、導入が決まった時点で早目に告知を始めるべきです。また、プロモーションや告知には費用もかかるため、事前にその費用を確保しておく必要があります。

ユーザーのメリットを考える

ポイントサービスを設計する段階から、顧客のメリットを優先しましょう。顧客にとってポイントを貯めるメリットがなかったり、サービスの内容がわかりにくかったりすると、顧客満足度の向上にはつながりません。まずは顧客が納得できるポイントサービスを設計し、それを実現するために最適なポイントシステムを定義することが大切です。

ポイントシステム導入にかかる費用

ポイントシステムの導入費用は、オンプレミス型とクラウド型で大きく異なります。オンプレミス型では開発や運用に人的コストがかかるため、費用は数千万円かかる可能性があります。クラウド型は初期費用を抑えられますが、それでも月額数万円から数百万円の負担が必要です。

まとめ

ポイントシステムは、充実したポイントサービスを適切に提供するために役立ちます。ポイントシステムを導入する際は、自社に合わせて種類や機能を検討しましょう。

アプリでポイントサービスを提供するために、ぜひ導入を検討してください。