前回の記事では、店舗の販促を効率化するためには、すべてのお客さまに同じクーポンや情報を届けるのではなく、お客さまの状況に合わせて「誰に・何を・いつ届けるか」をあらかじめ決めておくことが大切だとご紹介しました。
販促シナリオでは、すべてのお客さまに同じ情報やクーポンを送るのではなく、来店回数や最終来店日、スタンプ・ポイントの状況などを見ながら、次の来店につながる働きかけを考えることが重要です。

実際に販促シナリオを運用しようとすると、
最終来店から何日経った人を対象にするのか
初回来店のお客さまと常連のお客さまを同じ条件でよいのか
すでに予約済みのお客さまには送らない方がよいのではないか
など、より具体的な条件を決める必要があります。
また、飲食店、美容室・サロン、小売店、アパレル、宿泊施設では、お客さまが利用する理由も来店する頻度も異なります。そのため、同じ販促シナリオをそのまま当てはめればよいわけではありません。
販促シナリオは「1つの条件」だけで考えない
販促シナリオを作るとき、まず決めやすいのが「最終来店から○日経過したお客さま」といった条件です。
ただし、最終来店日だけでは、お客さまの状態を十分に捉えられないことがあります。
- 一人は、初回来店後にまだ2回目の来店がないお客さま。
- もう一人は、それまで毎週のように利用していたものの、最近来店が途絶えているお客さまです。
同じ「30日間来店していない」という状態でも、これまでのお店との関係は大きく異なります。
- 前者なら、もう一度利用してもらうためのきっかけが必要かもしれません。
- 後者なら、値引きをしなくても、新商品や季節メニューなどを知らせるだけで来店を思い出してもらえる可能性があります。
そこで販促シナリオでは、1つの条件だけを見るのではなく、複数の情報を組み合わせてお客さまの状態を考えます。
- 来店回数
- 最終来店日
- スタンプの進捗
- ポイントの保有状況
- 会員ランク
- 誕生月
- 利用店舗
- 予約や来店の有無
最初から多くの条件を組み合わせる必要はありません。
まずは「最終来店日+来店回数」「来店回数+スタンプの進捗」など、自店で確認しやすい情報から始めるだけでも、お客さまの状態に合わせた販促を考えやすくなります。
「いつ・誰に・何を届けるか・誰には送らないか」まで決める
第1回では、販促シナリオの基本として「誰に・何を・いつ届けるか」をご紹介しました。
美容室で前回来店から一定期間経過したお客さまに予約案内を届けるシナリオを考えてみます。
| 決めること | 設計例 |
|---|---|
| いつ | 前回来店から、自店で設定した期間が経過したとき |
| 誰に | 次回来店の目安が近づいているお客さま |
| 何を | メンテナンス時期や予約に関する案内 |
| 誰には送らないか | すでに予約済み、または再来店済みのお客さま |
| 配信後に見ること | 予約・来店など、確認できる範囲の反応 |
「前回来店から○日」という条件だけを設定すると、すでに予約しているお客さまにも予約案内を届けてしまう可能性があります。
そこで、対象にする条件だけではなく、対象から外す条件まで含めてシナリオを考えます。
これは販促を効率化・自動化していくほど重要になります。
一度ルールを設定すると、担当者が一人ひとりの状況を毎回確認しなくても運用しやすくなる一方、条件が適切でなければ、お客さまにとって必要のない案内まで届きやすくなるためです。
自動化すること自体を目的にするのではなく、必要なお客さまに、必要なタイミングで情報を届けられるルールを作ることが大切です。
多くの店舗で使いやすい販促シナリオの考え方
業種ごとのシナリオを見る前に、多くの店舗で共通して使いやすい考え方を整理しておきましょう。
- 初回来店では、アプリを使う体験までつなげる
ダウンロードだけで終わらせず、特典の利用やスタンプ・ポイントの付与までを一つの体験として考えます。 - 2回目の来店では、全員を同じ条件にしない
初回来店後の経過期間やスタンプ・ポイントの状況などに応じて、届ける内容を変えます。 - 「あと1回」「あと少し」を再来店のきっかけにする
すでに貯まっているスタンプやポイント、特典獲得までの進捗を知らせることも、次回来店のきっかけになります。 - 来店が途絶れたときは、以前の利用状況も見る
初回来店後に来店がないお客さまと、以前は頻繁に利用していたお客さまでは、同じ「来店していない」状態でも適した働きかけが異なります。 - 常連のお客さまには、値引き以外の価値も考える
新商品の先行案内や会員限定企画など、よく利用しているからこそ得られる体験も選択肢になります。
これらの基本的な考え方については、第1回「次の来店を仕組みでつくる|人手不足の店舗に必要な販促シナリオとは?」で詳しくご紹介しています。

季節や曜日など、カレンダーを起点にする
お客さまの来店状況や行動だけでなく、季節や曜日などを起点に販促シナリオを考える方法もあります。
- 誕生月
- 季節商品の販売開始
- 閑散になりやすい曜日
- ポイントの有効期限が近づく時期
- 季節の切り替わり
こうした施策は、その時期になってから毎回企画を考えるのではなく、あらかじめ年間の販促予定と対象となるお客さまを整理しておくことで、継続して運用しやすくなります。
このように、販促シナリオは「お客さまの状態」だけでなく、「店舗側の販促タイミング」を起点に設計することもできます。
飲食店|来店頻度と利用シーンを組み合わせる

飲食店では、ランチとディナー、平日と週末など、同じ店舗でもお客さまの利用シーンが異なります。
来店頻度も比較的短い場合があるため、最終来店日だけではなく、これまでの利用回数や利用する時間帯なども、シナリオを考える手がかりになります。
初回来店から2回目につなげる
例えば、初回来店時には、会計時にアプリをダウンロード→その場で使える特典を利用→スタンプを付与までを一つの体験として考えます。
その後、まだ2回目の来店が確認できていない場合は、次の利用を考えるきっかけとなる情報を届けます。
新メニューや季節メニュー、ランチ情報など、そのお店をもう一度利用する理由になる情報を選びます。
それでも一定期間来店がなければ、必要に応じて再来店特典を検討するという段階的なシナリオも考えられます。
ランチ利用とディナー利用で内容を変える
同じ飲食店でも、ランチを中心に利用しているお客さまと、ディナーを中心に利用しているお客さまでは関心が異なる場合があります。
- ランチ利用が中心のお客さまには、ディナータイムのメニューや利用シーンを紹介する。
- ディナー利用が中心のお客さまには、週末のおすすめメニューや季節商品を知らせる。
- といったように、これまでの利用状況を次の来店提案に活用します。
一方、毎月何度も来店しているお客さまには、毎回クーポンを届けるのではなく、新メニューを先行して知らせるなど、情報そのものを価値として届ける方法もあります。
美容室・サロン|「来店周期」をシナリオの軸にする

美容室・サロンでは、飲食店のように短期間で何度も来店するというより、施術内容などに応じてある程度の来店周期があります。
そのため、「何回来店したか」だけではなく、前回来店からどれくらい経過したかをシナリオ設計の軸にしやすい業種です。
次回来店の目安が近づいたら知らせる
例えば、自店で想定する来店周期をもとに、次回来店の目安が近づく→メンテナンス時期や予約に関する情報を届けるというシナリオを考えます。
この段階では、必ずしも割引を付ける必要はありません。
- そろそろメンテナンスを考える時期
- 予約可能な時間がある
といった、お客さま自身の利用タイミングに合った情報を届けることが、再来店のきっかけになります。
来店がない場合は段階的に考える
さらに、
- 来店周期が近づく→来店時期を知らせる
- 周期を過ぎても予約・来店がない→予約方法などを案内する
- さらに一定期間来店がない→必要に応じて再来店特典を検討する
と段階を分ける方法もあります。
ここで重要なのが除外条件です。すでに予約しているお客さまや、案内後に来店したお客さまには、その後の再来店促進の案内を届けないようにします。
小売店|来店頻度やスタンプ・ポイントの状況で分ける

小売店では、チラシやキャンペーン情報をすべてのお客さまに一斉配信する運用になりやすい一方、お客さまによって利用頻度は大きく異なります。
毎週利用するお客さまと、月に一度利用するお客さまでは、「しばらく来店していない」の意味も変わります。
普段の来店頻度と比べて考える
例えば、毎週のように利用していたお客さまが一定期間来店していない場合。
単に「○日来店していない」という条件だけで判断するのではなく、これまでの来店頻度と比較します。
普段から利用頻度の高いお客さまなら、新商品や入荷情報を知らせるだけでも、再来店のきっかけになるかもしれません。
一方、初回来店後に期間が空いているお客さまであれば、2回目の利用につながる情報や特典を検討します。
スタンプやポイントも来店理由にする
小売店では、スタンプやポイントの状況も販促シナリオに活用できます。
- スタンプがあと1つ→特典獲得まであと少しであることを知らせる
- ポイントの利用機会がある→保有状況を知らせる
- 上位会員→会員向けの先行情報を届ける
新しい値引きを追加するのではなく、すでにお客さまが持っているスタンプやポイントを思い出してもらうことで、再来店につなげる考え方です。
アパレル|購入後の情報提供と特別感を組み合わせる

アパレルでは、頻繁な値引きがブランドイメージや利益に影響することもあります。
そのため、購入後すぐに次の割引を届けるのではなく、商品や季節に関連した情報を通じて、次の接点を作ることも重要です。
購入後は、次に役立つ情報を届ける
- 購入後→コーディネートに関する情報
- 一定期間後→新着情報
- 季節の変わり目→シーズン商品の案内
購入後すぐに「また買ってください」と促すのではなく、購入した商品を楽しむための情報を届け、その後の新商品や季節商品につなげます。
上位会員には先行情報や限定体験
利用頻度や会員ランクが高いお客さまには、
- 新商品の先行案内
- 取り置き
- 会員限定企画
- 先行販売に関する情報
など、値引き以外の価値を届けることも考えられます。
一方で、シーズン終盤など、店舗側がセールを実施するタイミングでは、その情報が必要なお客さまを絞って届ける方法もあります。
宿泊施設|次の旅行機会まで関係を維持する

宿泊施設では、飲食店や小売店のように、数日後や数週間後の再利用を期待できるとは限りません。
そのため、短期間で何度も来館してもらうことを前提にするのではなく、次の旅行を考えるタイミングまで、お客さまとの接点を維持するという考え方が重要です。
宿泊中からチェックアウト後までを一つの流れにする
- チェックイン→アプリを登録→当日利用できる館内特典
- チェックアウト後→宿泊のお礼
上記のような流れを一つのシナリオとして考えます。
宿泊が終わった時点で関係を切るのではなく、その後も適切なタイミングで情報を届けられる状態を作ります。
季節や次の旅行時期に合わせて案内する
宿泊後すぐに再予約を求めるのではなく、季節が変わる前など、次の旅行を考える可能性があるタイミングで情報を届けます。
- 季節ごとの宿泊プラン
- 周辺地域の季節の見どころ
- 過去の利用状況に合ったプラン
- リピーター向けの情報
過去の利用状況に応じて、ファミリー向け、平日利用向けなど、届ける情報を分けることも考えられます。
また、利用頻度の高いお客さまには、会員ランクや誕生月などを活用して、継続利用につながる体験を設計する方法もあります。
業種によって、シナリオ設計の「起点」が変わる
ここまでの5業種を比較すると、販促シナリオの基本的な考え方は共通していても、何を起点に設計するかは異なります。
| 業種 | シナリオ設計の主な起点 | 活用する情報の例 | 再来店につながる働きかけの例 |
|---|---|---|---|
| 飲食店 | 来店頻度・利用シーン | 最終来店日、来店回数、利用状況 | 新メニュー、利用シーンに合った情報 |
| 美容室・サロン | 来店周期 | 最終来店日、予約・来店状況 | メンテナンス時期、予約案内 |
| 小売店 | 来店頻度・特典の進捗 | 来店回数、スタンプ、ポイント | 入荷情報、特典獲得までの案内 |
| アパレル | 購入後の期間・季節 | 購入状況、会員ランク | コーディネート、新着、先行情報 |
| 宿泊施設 | 次の旅行機会 | 宿泊履歴、会員情報 | 季節情報、宿泊プラン |
この表をそのまま自店に当てはめる必要はありません。
同じ飲食店でも、毎日利用される店舗と、記念日などに利用される店舗では来店周期が異なります。
美容室でも、提供するサービスによって次回来店の目安は変わります。
自動化するほど「送らないルール」が重要になる
販促シナリオを整えていくと、条件に応じて継続的にお客さまへ情報を届けやすくなります。
そこで重要になるのが、「誰に送るか」だけでなく、「誰には送らないか」というルールです。
- 昨日来店したお客さまには、再来店を促す案内を送らない
- すでに予約済みのお客さまには、予約を促す案内を送らない
- 繰り返し利用しているお客さまに、毎回同じ値引きを届けない
- 直近に同じ案内を送ったお客さまには、続けて同様の案内を送らない
- 初回来店のお客さまと上位会員に、同じ情報を送らない
自動化できるからといって、配信数を増やせばよいわけではありません。
お客さまにとって関係のない通知が増えれば、必要な情報まで見てもらいにくくなる可能性があります。
販促シナリオを作る際には、「この条件になったら送る」だけではなく、「この状態なら送らない」という条件もセットで考えましょう。
最初から複雑なシナリオを作る必要はない
ここまでさまざまな条件や業種別の例をご紹介しましたが、最初から多くのシナリオを同時に作る必要はありません。
まずは、自店にとって重要な課題を1つ選びます。
初回来店時
アプリを利用するきっかけを作る
来店後
お礼や次回利用の参考になる情報を届ける
一定期間、再来店が確認できない
再来店を考えるきっかけとなる情報を届ける
さらに来店が確認できない
必要に応じて特典を検討する
それぞれについて、以下の項目を決めます。
- どの条件になったら対象にするか
- 何を届けるか
- 誰を対象から外すか
- 実施後に何を確認するか
これだけでも、担当者が毎回「そろそろ何か配信しよう」とゼロから考える運用から、条件に沿って繰り返せる運用へと変えていくことができます。
実施した後は、結果を確認しながら、
- もう少しタイミングを変えた方がよいのではないか
- このお客さまには特典がなくても来店してもらえそう
- この条件では対象が広すぎる
といった点を見直します。
販促シナリオは、一度作って終わりではありません。設計する→実施する→結果を見る→条件を調整するという流れで、自店に合った形へ改善していくことが大切です。
GMOおみせアプリの新しい管理画面で、販促シナリオを運用しやすく
販促シナリオを考えても、毎回対象となるお客さまを手作業で探し、配信条件を設定し直していては、担当者の負担が増えてしまいます。
GMOおみせアプリでは、プッシュ通知、クーポン、スタンプ、ポイント、会員ランク、顧客データなどを組み合わせ、お店の業種やお客さまの状況に合わせた販促施策を設計できます。
また、GMOおみせアプリの新しい管理画面では、属性や行動から対象となる会員を抽出し、そのまま配信につなげたり、繰り返し使う対象条件をセグメントグループとして管理したりすることができます。
対象となるお客さまの抽出から配信、配信後の反応確認までをつなげて運用しやすいため、設計する→対象を見つける→届ける→結果を見るという改善サイクルを回しやすくなります。
また、条件に応じたクーポンの自動発行やメッセージの自動配信など、販促運用の一部を自動化することもできます。
ただし、販促シナリオを作ることと、すべての施策が自動で実行されることは同じではありません。
※利用できる機能や自動化できる範囲は、ご契約内容・機能構成によって異なります。
業種とお客さまの状態に合わせて、再来店につながる仕組みをつくる
販促シナリオに、すべての店舗で使える一つの正解があるわけではありません。
- 飲食店なら来店頻度や利用シーン
- 美容室・サロンなら来店周期
- 小売店なら来店頻度やスタンプ・ポイント
- アパレルなら購入後の情報や季節
- 宿泊施設なら次の旅行を考えるタイミング
このように、業種や店舗によって再来店のきっかけは異なります。
大切なのは、全員に同じ施策を届けるのではなく、自店で確認できる情報を使ってお客さまの状態を分け、それぞれに合った次の働きかけをあらかじめ決めておくことです。
GMOおみせアプリでは、顧客データとプッシュ通知、クーポン、スタンプ、ポイント、会員ランクなどを組み合わせ、こうした販促シナリオの運用を支援します。
また、カスタマーサクセスチームによる導入・活用支援もご用意しています。どの条件でお客さまを分ければよいか、どのような販促シナリオから始めればよいか迷っている場合も、運用フローの構築やデータ分析、施策立案・検証などをサポートしています。
まずは、自店で重要な再来店のシナリオを1つ決めるところから始めてみましょう。
次回は、実際にお客さまへ届けるプッシュ通知とクーポンに焦点を当てます。
対象となるお客さまと届けるタイミングを決めても、通知の送り方やクーポンの使い方によっては、必要以上の配信や値引きにつながることがあります。
第3回では、プッシュ通知やクーポンを販促シナリオに組み込む際に押さえておきたい設計のポイントをご紹介します。
