販促とは？意味や目的、手法の種類、販促物について解説｜実施効果を高めるポイントも紹介

「販促」とは販売促進の略で、マーケティング戦略において用いられる用語です。販促の手法にはさまざまな種類があるため、ターゲット層や目的に応じて適切に使い分けることが重要です。

この記事では、販促の概要や類似語、効果的な実施方法などについて解説します。

販促の意味

販促とは「販売促進」を略した言葉です。商品をアピールして世間へ広く認知させたり、企画やイベントを通して消費者の購買意欲を促したりして、業績を向上させることを目的としています。

消費者へ商品の魅力をアピールする活動は、すべて「販促」の範囲と捉えてよいでしょう。認知度を向上させて新規顧客の獲得につなげるのに加え、既存顧客に対しても効果的にアプローチできます。具体的な施策として、試供品の配布、イベントの開催、クーポンや割引券の発行、実演販売などが挙げられます。

販促が必要とされる理由

消費者へ商品の魅力をアピールする活動は、すべて「販促」の範囲と捉えてよいでしょう。認知度を向上させて新規顧客の獲得につなげるのに加え、既存顧客に対しても効果的にアプローチできます。具体的な施策として、試供品の配布、イベントの開催、クーポンや割引券の発行、実演販売などが挙げられます。

数ある選択肢のなかから自社を選んでもらうためには、消費者にアピールするための販促活動が欠かせません。

販促を実施する目的とは

販促はどのような効果を狙って実施するのでしょうか。ここでは、販促の目的について解説します。

商品・サービスの認知度向上を高める

多くの企業が販促を実施する目的は、商品やサービスの認知度を底上げし、収益の拡大につなげることです。市場には競合他社による類似品があふれており、対応策を講じなければ、自社の商品は埋もれてしまうでしょう。そのため、商品やサービスの魅力を積極的に伝えることがマーケティングを成功に導くカギとなります。

販促を通じて必要な情報を消費者へ届けることで他社商品との違いを明確にし、差別化を図れます。

新規顧客を獲得する

既存の顧客だけでは、売上が伸びない可能性があります。利益や市場を拡大するためには、現在自社の商品やサービスの顧客ではない新規顧客層を取り込み、顧客の数を増やさなければなりません。販促を実施することで、自社の商品やサービスを知らない層にアプローチができて、新規顧客の開拓へとつながります。

既存顧客のリピートを促す

既存顧客の「リピーター化」は、売上アップにつながります。リピーターは「購入単価が高い」「友人や知人を紹介してもらえる」といった傾向にあるからです。既存顧客に向けた販促を実施することで、継続して購入・利用をしてもらえるでしょう。また、競合他社の商品やサービスへの乗り換えも防げます。

販促と混同しやすい用語

マーケティング戦略においては、さまざまな用語が使われます。顧客へのアプローチを示す用語には似ているものも多いため、混同しがちです。ここでは「販促」に似ている用語について解説します。

販促と「営業」「宣伝」「販売」との違い

概要	特徴	ニュアンス
営業 (Sales)	魅力を伝えて購入を後押しする活動	顧客へ直接商品やサービスを提案し、契約を促進する活動
宣伝 (Advertising)	認知度を向上させるための活動	大衆やターゲット層に対してメッセージを広め、商品やブランドを知らせる広告活動
販売 (Selling)	商品を売る活動	商品やサービスを顧客に提供し、取引を成立させる過程を指す活動
販促 (Promotion)	消費者と自社商品の接点をつくり、購買までの動線を整える活動	販売促進のために、広告、イベント、キャンペーンなどを通じて顧客の購買意欲を高めるための総合的な戦略

販促とは「消費者と自社商品の接点をつくり、購買までの動線を整えること」を強調する言葉です。類似語として「営業」「宣伝」「販売」などが挙げられます。営業＝魅力を伝えて購入を促す活動、宣伝＝認知度を向上させるための活動、販売＝商品を売る活動」を表すため、販促とはニュアンスが異なります。

一方で、営業・宣伝・販売・販促はマーケティングにおいて、切り離せないものであるため、1つの部署がすべての活動を担っているケースも少なくありません。

販促と「マーケティング」との違い

販促に類似する言葉として「マーケティング」も挙げられます。マーケティングとは、商品の企画・発案から販売・発送までを指す言葉です。販促や市場の調査、価格の設定なども含まれます。

つまり「マーケティング」という用語は、製品、価格、流通、販売など、売上に関わるすべての業務の大きなくくりとして用いられています。一方、販促は「商品の宣伝・購買活動の促進」という、限られた活動範囲を表します。

販促方法の種類【オフライン媒体を活用する手法】

紙媒体や放送媒体、イベントといった販促は、長きにわたって使われてきた手法です。以下で詳しく解説します。

チラシ・看板・ダイレクトメール

チラシや看板、ダイレクトメールは、あらゆる世代に有効な方法のひとつです。店舗を日本中に展開している企業の場合、チラシを全国紙に折り込むことで。広く効果的に認知度を向上させられます。

また、地域に根ざした店舗運営をしている場合には、店舗のある近辺に看板を設置すると、近隣住民へのアプローチができます。ターゲットを絞って情報を届けたいときには、ダイレクトメールが効果的でしょう。

テレビCM・ラジオ

テレビCMやラジオも販促に使われます。音声と映像は、情報をわかりやすく届けられます。また、文字や図柄に比べて、視聴者の印象に残りやすいという特徴もあります。ただし、制作や配信に費用がかかるため、実質的な収益とのバランスを考慮する必要があります。

イベント・店頭キャンペーン

自社のイベントや、店頭でのキャンペーンも効果的です。ユーザーはサービスや商品を体験することで実感が湧き、購買後のイメージを想像しやすくなります。イベントやキャンペーンに注目が集まることで、商品やサービスの魅力が増す効果もあります。

販促方法の種類【オンライン媒体を活用する手法】

インターネットの普及により、SNSやWeb媒体を活用した販促も広く使われています。以下で詳しく解説します。

SNS運用・SNS広告

SNSの運用やSNS広告を活用することも有効です。SNSは利用者が多く、認知度の向上に役立ちます。具体的には、企業のアカウントを作成して継続的に運営する、インフルエンサーを起用する、タイアップ広告を出すといった方法が挙げられます。

ただし、SNSの種類によってユーザー層が異なるため、ターゲットと一致する媒体を選ぶことが重要です。

オウンドメディア・公式アプリ

自社で独自に運営するオウンドメディアや、公式アプリも有効な販促です。既存顧客に情報を効率的に届けられるため、リピーターの獲得を目的とした販促には高い効果が期待できます。

ただし、オウンドメディアの継続的な運営やアプリの開発には、人材と費用の確保が欠かせません。費用と比較して、ユーザーとのコミュニケーション方法として最適であるかを見極めましょう。

Web広告

Web広告の活用も有効な販促方法のひとつです。インターネットが普及した現代では、Web広告を打ち出すことで幅広い客層にアプローチができます。Web広告を選ぶ基準は、ユーザー数の多さ、ターゲット層に合致するかといったポイントです。

また、Web広告には検索広告やディスプレイ広告など、複数のタイプがあるため、目的に応じて使い分けましょう。たとえば、リピーターや顕在顧客に対しては検索広告、潜在顧客に対してはディスプレイ広告と、有効な方法が異なります。

販促方法別のメリット・デメリット【オフライン】

それぞれの販促方法には、メリット・デメリットがあります。ターゲット層や目的に合った方法を選ぶことで、より高い効果を期待できるでしょう。

販促方法	メリット	デメリット
チラシ・看板・ダイレクトメール	・幅広い世代にアプローチ可能 ・地域ターゲットに効果的 ・物理的な資料を手に取りやすい	・印刷・発送コストがかかる ・リアルタイムな情報更新が難しい ・リーチと効果の測定が難しい
テレビCM・ラジオ	・音声と映像で情報を効果的に伝えられる ・高い視認性と記憶に残りやすい	・制作・放送に高額なコストがかかる ・ターゲット層へのピンポイントなアプローチが難しい
イベント・店頭キャンペーン	・商品やサービスを体験させることが可能 ・実感を生み出し、購買意欲を高める効果がある	・イベントの開催や運営にコストとリソースが必要 ・集客が難しい場合がある

販促方法別のメリット・デメリット【オンライン】

ここでは、オンラインの販促におけるメリットとデメリットについて解説します。

販促方法	メリット	デメリット
SNS運用・SNS広告	・利用者が多く、広告の認知度向上に寄与する ・ターゲット層に合致した広告配信が可能 ・リアルタイムで情報更新が可能	・競争が激化し、広告コストが上昇する可能性がある ・適切な戦略を立てないと広告の効果が得られない場合がある
オウンドメディア・公式アプリ	・自社メディアで情報を効率的に伝えられる ・リピーターへの情報提供が容易 ・顧客とのコミュニケーションを強化可能	・メディアやアプリの運営に人材と費用が必要 ・新規ユーザー獲得には限定的な効果がある可能性がある
Web広告	・インターネットを通じて幅広いターゲット層にリーチ可能 ・キャンペーンの効果をリアルタイムで測定可能	・クリック率や広告費用の競争が激化し、コストがかかる場合がある ・適切なターゲット層への広告配信が難しい場合がある

販促を実施する際のポイント・注意点とは

販促を実施して成果をあげるために留意すべきポイントや注意点について解説します。

ターゲット層を絞り込む

効果的な販促手法を選ぶには、商品やサービスを届けるターゲットを明確にすることが重要です。性別・年齢・職業・居住地・家族構成などの属性を基に、具体的な人物像を設定しましょう。この架空の人物像を「ペルソナ」といいます。

ターゲット層によって生活習慣や接触する媒体が異なるため、ペルソナが具体的であるほど、訴求内容や伝えるメッセージが的確になり、成果につながりやすくなります。

販促の目的・目標を設定する

販促を成功させるには、ターゲット層の絞り込みやペルソナの設定だけではなく、目的や目標も明確にする必要があります。認知拡大、リピーター獲得など、販促を実施する目的を決めると、施策の方向性が定まります。また、目的の具体化により、価格や数量といった目標を設定しやすくなるでしょう。

目標は曖昧な表現ではなく、売上や来店数などの具体的な数値を掲げることが成果につながります。

販促効果の測定・検証をする

販促においては、施策の効果検証と改善が欠かせません。問い合わせ数や売上、会員登録数といった具体的な数値を分析すると、成功あるいは失敗を判断できます。結果から仮説を立て検証を繰り返せば、自社に合った方法が見つかります。

販促の準備段階で目標を数値化し、実施後は想定との差を分析して、改善につなげることが重要です。定期的に施策を改善することで、販促の効果を最大化できます。

季節やイベントに合わせる

販促は、季節や流行が過ぎてからでは効果が期待できないため、顧客のニーズに合った時期を選ぶことが重要です。例えば、夏はうちわや扇子、冬はカイロといった実用的な販促物の活用が挙げられます。さらに、ボーナス時期や生活習慣に合わせて施策を実施すれば、購買意欲やブランドの認知度を高められるでしょう。

タイムリーで限定感のある施策は、顧客行動を促す強力なきっかけとなります。

販促に効果的なグッズ・販促物とは

販促物とは、販促を実施する際に使うグッズで、商品やサービスの認知度や購買意欲を高める効果があります。商品やサービスの特徴・内容を記載したカタログやチラシは「宣伝」をおもな目的としています。また、商品名・サービス名や会社名などを印字した日用品は、消費者への印象付けの効果があります。

おもな販促物やグッズとして、以下のようなものがあります。

• パンフレット、カタログ、チラシ
• 店頭のぼり、ポスター、POP
• 文房具（メモ、付箋、ボールペン）
• カレンダー
• ティッシュ、ハンカチ、タオル

まとめ

「販促」とはマーケティングの一環で、消費者と商品の接点をつくり、購買行動や売上の向上につなげる活動を指します。販促活動の効果を高めるには、ターゲットや目的に合った方法を選ぶことが重要です。