アプリを導入すると、プッシュ通知やクーポンを使って、お客さまへ直接情報を届けられるようになります。
一方で、実際に運用を始めると、
頑張って配信しているけれど、反応がよくわからない
クーポンを出しているのに、思ったほど使われない
何を、どのくらいの頻度で送ればよいのかわからない
といった悩みが出てくることもあります。
プッシュ通知やクーポンは便利な販促手段ですが、たくさん配信すれば効果が高まるわけではありません。
お客さまに関係のない情報を何度も届けてしまうと、「自分には関係ない」「通知が多い」と感じられ、本当に必要な情報まで見てもらいにくくなる可能性があります。
第1回では、販促シナリオの基本となる「誰に・何を・いつ届けるか」、第2回では、複数の条件を組み合わせた対象者の考え方や「誰には送らないか」という条件についてご紹介しました。


大切なのは、「全員にたくさん送る」のではなく、必要なお客さまに、次の行動につながる情報を届けることです。
プッシュ通知のゴールは「送ること」ではない
プッシュ通知を運用していると、「今月は何回配信したか」という配信回数に目が向きがちです。
しかし、配信すること自体が目的ではありません。
見るべきなのは、
- 通知が届き、開いてもらえたか
- クーポンの利用など、次の行動につながったか
- お客さまにとって不要な案内を増やしていないか
といった配信後の反応です。
配信後の反応を正しく振り返るには、配信する前に「誰に」「何を」「いつ届けるのか」、そして「何のために送るのか」を決めておく必要があります。目的と対象があいまいなままでは、反応がよかったのか悪かったのかを判断しにくいためです。
繰り返し利用する対象条件はセグメントグループとして管理できるため、「常連のお客さま」「しばらく来店していないお客さま」など、状態に応じて対象を分けた運用も行えます。
よくある失敗は「全員に同じ情報を送り続けること」
たとえば、新商品の情報をアプリ会員全員に配信するとします。
もちろん、その商品に興味を持つお客さまもいます。
しかし、昨日来店したばかりのお客さまと、数ヵ月来店していないお客さま、頻繁に利用している常連のお客さまでは、届けたい情報や次に促したい行動が異なります。
| よくある配信 | 見直したいポイント |
|---|---|
| 会員全員に同じクーポン | 特典が必要なお客さまを考える |
| 毎回「お得なお知らせ」 | 1通につき1つの目的を決める |
| 来店直後にも再来店クーポン | 最近来店したお客さまは対象から外す |
| 常連のお客さまにも毎回値引き | 先行情報や限定企画など別の価値を届ける |
一斉配信そのものが悪いわけではありません。営業時間の変更や、全会員を対象としたキャンペーンなど、全員に知らせるべき情報は一斉配信が適しています。
注意したいのは、状態の異なるお客さまに、毎回同じ内容を送り続けることです。
アプリを使った販促では、全員に届ける情報と、お客さまの状態に合わせて出し分ける情報を使い分けることがポイントです。
プッシュ通知・クーポンで押さえたい5つのポイント
1.対象者と一緒に「対象外」を決める
たとえば、2回目の来店を促すクーポンであれば、昨日来店したお客さまや、すでに頻繁に利用しているお客さまには必要ないかもしれません。
美容室の予約案内であれば、すでに次回予約済みのお客さまは対象から外します。
会員ランク限定企画であれば、対象となるランクのお客さまだけに届けます。
これは、第2回でご紹介した「誰には送らないか」という販促シナリオの考え方と同じです。

自動化や継続的な配信を行うほど、対象外の条件まで決めておくことが重要になります。
2.1回の通知で伝えることは1つにする
「新商品が出ました。キャンペーンも実施中です。今週はポイント2倍で、さらにクーポンもあります。」
情報をたくさん入れれば魅力的に見えるかもしれません。
しかし、お客さまからすると、「結局、何をしてほしいのか」がわかりにくくなります。
そこで、1通につき1つの目的を決めます。
- ニュースなら「知ってもらう」
- クーポンなら「来店・購入してもらう」
- 予約案内なら「予約してもらう」
というように、通知を受け取ったあとにしてほしい行動を明確にします。
「通知を見る → 内容を理解する → 必要な画面へ進む」という一連の流れで考え、通知内容と遷移先を合わせておくことが大切です。
3.ひと目で「何の案内か」がわかるタイトルにする
プッシュ通知では、最初に目に入るタイトルも重要です。
それよりも、
本日限定|ランチ特典
ゴールド会員さまへ|先行セール
今週の空き枠をご案内
あと1回来店で特典
など、通知一覧で見たときに内容を判断できる表現にします。
すべての情報をタイトルへ詰め込む必要はありません。
「誰向けなのか」「何の情報なのか」「いつまでなのか」など、その通知で特に伝えたい要素を短く入れることがポイントです。
4.配信タイミングは「来店サイクル」から考える
プッシュ通知は、「毎週○曜日に送る」「月に○回配信する」といった運用ルールだけで決めるのではなく、お客さまの来店サイクルに合わせて考えることも大切です。
- 美容室なら、毎週クーポンを配信するよりも、次回来店が想定される時期に合わせて予約情報を届けるほうが自然です。
- 宿泊施設なら、短期間に何度も宿泊を促すのではなく、季節の変わり目や旅行を検討しそうな時期に情報を届ける方法があります。
まずは自店のお客さまがどのくらいの間隔で来店しているかを把握し、最終来店日から一定期間が経過したお客さまを対象にするなど、来店状況を条件にした配信を検討しましょう。
前回までの記事でご紹介した「販促シナリオ」と同じように、お客さまが次に動きそうなタイミングから逆算して配信することがポイントです。
あわせて意識したいのが、配信の頻度です。キャンペーンの告知、シナリオに沿った案内、クーポンの配布は、店舗側では別々の施策でも、お客さまから見ればすべて同じお店からの通知です。
施策ごとの配信回数ではなく、お客さま1人が一定期間に受け取る通知の数で考え、短期間に通知が重ならないよう調整することが大切です。
5.クーポンは「割引率」より「使う理由」を考える
しかし、先に考えたいのは、お客さまにとっての「今このクーポンを使う理由」と、店舗にとっての「今このクーポンを出す理由」です。
お客さまにとっての理由であれば、
- 雨の日だから、今日使える。
- 誕生月だから、特別に使える。
- スタンプのゴールが近いので、次の来店で使いたくなる。
店舗にとっての理由であれば、
- 平日の比較的空いている時間に、来店を促したい。
- 初回来店から一定期間が経過したお客さまに、2回目の来店を後押ししたい。
といったように、両方の理由を明確にしておくと、割引率だけに頼らないクーポンを設計しやすくなります。
GMOおみせアプリでは、インストール時や誕生月に合わせたクーポンの発行、雨の日や月末といった特定のタイミングに合わせた施策など、店舗の販促方針に応じた運用ができます。
業種によって、通知とクーポンの役割を変える
第2回では、飲食店、美容室・サロン、小売店、アパレル、宿泊施設を例に、業種ごとの販促シナリオをご紹介しました。
ここでは、そのシナリオを実際のプッシュ通知とクーポンへ落とし込む例をご紹介します。
飲食店|天候や時間帯に合わせて、来店のきっかけをつくる

飲食店では、その日の天候や時間帯に合わせて「今、来店する理由」を届けます。
日替わりメニューはプッシュ通知で知らせ、平日の空いている時間帯には当日限定の特典を用意するなど、情報とクーポンを使い分けましょう。特典は一律の値引きだけでなく、ドリンクやサイドメニューのサービスも選択肢になります。
美容室・サロン|施術周期と次回予約の有無で案内を変える

美容室・サロンでは、お客さまの施術周期に合わせた予約案内が基本です。
すでに次回予約をしているお客さまを除き、そろそろメンテナンスが必要な方へ空き枠を案内します。クーポンを使う場合は、比較的予約の少ない曜日や午前中に限定するなど、来店してほしい時間帯と結びつけて考えましょう。
小売店|買い物に役立つ情報と、次回来店のきっかけを届ける

小売店では、新商品や入荷情報、天候に合ったおすすめ商品など、日々の買い物に役立つ情報を届けます。
ポイントの有効期限が近いお客さまには、期限のお知らせも来店のきっかけになります。クーポンは、はじめてのお客さまの次回来店を促したいときなど、目的を絞って活用しましょう。
アパレル|関心に合った商品情報と、会員ならではの特典を届ける

アパレルでは、新作や季節の切り替わりに合わせた案内に加え、会員ランク限定の先行販売など、情報そのものの特別感も来店理由になります。
商品のサイズやカラーの在庫を踏まえ、関心のあるお客さまに案内することがポイントです。購入を迷っている方には、試着来店の特典など、お店で商品を確かめるきっかけをつくる方法もあります。
宿泊施設|旅行の検討時期と空室状況に合わせて案内する

宿泊施設では、季節の宿泊プランや周辺の観光情報など、次の旅行を考えるきっかけを届けます。
直前の空室案内は、急な宿泊を検討できるお客さまにとって役立つ情報です。クーポンは平日やオフシーズンの利用を後押しする場面で活用し、繁忙期には割引を重ねる前に、空室やプランの案内だけで十分かを考えましょう。
いずれの業種でも、図にある施策をすべて行う必要はありません。自店の課題に合うものを1つ選び、対象者とタイミングを決めて試してみましょう。
配信したら「答え合わせ」をする
プッシュ通知やクーポンは、配信したら終わりではありません。
配信後は、確認できる範囲で、
- 通知はどれくらい届いたか
- どれくらい開かれたか
- クーポンは使われたか
- どのような対象者の反応がよかったか
などを振り返ります。
通知は開かれているもののクーポンが使われていないのであれば、特典内容、利用条件、期限、遷移先などに改善できる点がないか確認します。
配信を重ねるうちに開封が減ってきた場合は、内容だけでなく、配信頻度が多すぎないかもみましょう。
GMOおみせアプリの新しい管理画面では、プッシュ通知の配信後に到達・開封・閲覧などの反応を確認でき、クーポンについても配布数や利用状況を振り返ることができます。
反応のよしあしは、一般的な数値と比べるよりも、自店の過去の配信と比べるほうが判断しやすくなります。結果をみながら、次回の対象者や内容を改善していくことが大切です。
一度にすべてを変えない
改善するときに注意したいのが、一度に多くの条件を変えないことです。
たとえば、
- 今回は配信時間を変える
- 次回はタイトルを変える
- その次は対象者を見直す
というように、確認したいポイントを絞って変更すると、「何を変えたときに反応が変わったのか」を判断しやすくなります。
最初から最適な配信ルールを作ろうとするのではなく、配信して反応を確認し、少しずつ自店に合った運用へ近づけていきましょう。
「たくさん送れる」からこそ、「必要な人に送る」
プッシュ通知やクーポンは、店舗からお客さまへ直接情報を届けられる便利な販促手段です。
だからこそ、「配信できるから送る」という運用には注意が必要です。
目指したいのは、必要なお客さまに、必要なタイミングで、次の行動につながる情報を届けることです。
昨日来店したお客さまには、すぐに再来店クーポンを送らない。
しばらく来店していないお客さまには、お店を思い出すきっかけを届ける。
上位会員には、毎回値引きをするのではなく、新商品や限定企画など特別な情報を届ける。
こうした出し分けを積み重ねることで、プッシュ通知は単なる「お知らせ」ではなく、お客さまとの関係を続けるための販促チャネルとして活用しやすくなります。
まとめ|販促を増やすのではなく、精度を上げる
GMOおみせアプリでは、顧客の属性や行動から対象者を抽出し、プッシュ通知やクーポンなどで情報を届け、配信後の反応を確認しながら次の施策へつなげることができます。
大切なのは、販促を増やすことではなく、販促の精度を上げることです。
