客単価が上がらない、リピーターが増えないなど、売上が伸び悩む課題を抱えている小売店は少なくありません。
小売店における売上の基本
客単価は1人の顧客が購入する平均金額のことで、売上総額を購入者数で割って算出されます。計算期間は年間ベースが一般的ですが、月次や四半期など短期間での算出も可能です。
売上アップは、小売事業を継続していくために最低限必要な要素であり、最大の課題でもあります。売上を分析すると、購入客数の不足なのか、客単価の低さなのか、品ぞろえの問題なのかといった課題を特定することができます。
小売店における売上の要素
購入客数
購入客数とは、商品を購入した顧客の実数を意味します。来店しても商品購入に至らなかった顧客は、来店客数にはカウントされますが、購入客数では対象外です。集客が思うように進まない状況でも、購入客数の増加によって売上アップを実現することが可能です。
購入率(購買率)
集客施策に力を入れて来店客が増加しても、購入率が低水準では売上アップにつながりません。購入率改善には、顧客ニーズを適切に満たすことと、想定する顧客層の来店を実現できているかがポイントになります。
平均客単価
平均客単価が向上すると、購入客数や購入率に変化がなくても、売上アップが実現できます。また、相応の価値提供をして価格を引き上げていくことも、売上アップの方法の1つです。
購入点数
購入点数の向上は、客単価の押し上げにつながり、最終的に売上アップが期待できます。関連性の高い商品の近接配置や、スタッフによる積極的な提案などの工夫により、購入点数の増加を促進できます。
小売店における売上アップの4つのポイント
新規顧客を獲得する
新規顧客の開拓は、市場シェアの拡大や競合他社との差別化を推進する重要な取り組みです。
新規顧客獲得には、広告配信やプロモーション活動といったマーケティング手法の導入が効果的です。また、潜在顧客の関心を引くために、自社ならではの強みや特徴を明確に打ち出し、商品やサービスの独自性を出すことも重要になります。
顧客の囲い込みをする
店舗・商品・サービスのファン層を形成することで、顧客の継続利用を促進し、競合他社への流出を防ぎます。
商品やサービスの改良、きめ細かなアフターフォローなど、顧客満足度向上の取り組みが囲い込みの基盤となります。顧客の商品・サービスへの愛着を高め、長期的な関係性を構築することが重要です。
顧客の来店頻度や購買頻度の向上を目指す
顧客の来店回数が増えれば購買機会も拡大し、売上の可能性が広がります。リピート利用率が高まれば、売上の安定化も実現できます。
定期的なプロモーション企画のような、顧客との接触機会を増やすことが、リピーターを増やす有効な手段です。商品・サービスの拡充や顧客の嗜好・要望に応じた提案も、重要な要素になります。
顧客単価の向上を目指す
顧客の1回あたりの購入金額が増えれば、比例して売上アップもできます。達成すべき顧客単価の目標設定と具体的施策の検討が重要です。
効果的な販売手法に、クロスセルとアップセルがあります。クロスセルは顧客の購入予定商品に関連する別商品の提案を指し、アップセルは現在利用中の商品・サービスの上位版を提案することを意味します。
売上アップのために必要な準備
現状を正確に把握する
現在の事業状況を的確に把握することが最初のステップです。売上実績や営業収益、顧客属性などの各種データを整理・分析することで、課題が浮き彫りになります。データに基づく課題の明確化により、適切な対策方針を決定できます。
購入客数・購入率・客単価だけでなく、時間帯別の来店状況や顧客特性、人気商品の動向など詳細に調査することが重要です。
徹底的にリサーチをする
続いて、市場環境や競合状況についての詳細なリサーチが必要です。業界の市場規模や経済動向、同一エリアの人気店舗や売れ筋商品などの情報収集により、ニーズに対応した販売戦略を策定できます。実際に競合店舗を視察することも有効です。
提供商品の内容、価格体系、顧客サービスの水準などを詳しく調査し、自社の優位性と改善点を把握します。
ブランディング・マーケティングの知識を身につける
ブランディングとマーケティングの各分野について学習することも重要です。ブランディングは自社商品・サービスの差別化要素を構築し、付加価値を創出する活動です。マーケティングは、商品が売れる仕組みの構築と実行を担います。
これらの知識習得により、売上アップ施策を効率的に展開できるようになります。
売上アップのための施策で注意すべきこと
全従業員で共有する
売上アップには、顧客とのコミュニケーションが重要な役割を果たします。顧客満足度が売上に大きく影響する要素であることを、スタッフ全員で共有していなければなりません。全スタッフで目標を共有し、勉強会や研修会の開催といった従業員のスキル向上にも注力しましょう。
既存顧客の満足度を保つことを心がける
新規顧客開拓に注力するあまり、既存顧客の満足度が低下してしまうのは逆効果です。優良顧客向けの特別サービス提供、トラブル発生時の迅速対応など、満足度維持への配慮が必要です。既存顧客の満足度向上は、リピート利用率の改善や口コミによる新規顧客獲得が期待できるだけでなく、安定した売上基盤を構築できます。
売上アップのための具体的な施策
クーポンを発行する
クーポン発行は顧客の来店意欲を直接的に刺激する効果的な手法です。近年は、従来の紙媒体クーポンに加え、SNSでの配信も可能です。
店舗オリジナルアプリを活用したデジタルクーポンも有効で、顧客がカード類を携帯する必要がなくなり、利用率向上が期待できます。アプリの活用については後述します。
ポイントカードを導入する
来店・利用実績に応じたポイント付与と、蓄積ポイントによる特典提供の仕組みです。リピーター向けの施策ですが、新規顧客の来店動機向上にも効果が期待できます。
アプリ連動型にすれば、顧客の利便性が高まるだけでなく、顧客データの収集が可能で、将来的なマーケティング戦略にも活かせます。
SNSを活用する
SNS公式アカウントの運営により、魅力的なビジュアルコンテンツで商品・サービスの認知度向上を図ります。10〜20代にはXやInstagram、40〜50代にはFacebookなど、年代別に効果的なプラットフォームが異なるため、ターゲットに適した発信が重要です。
また、LINEでの情報発信は顧客との継続的な接点構築に有効です。イベントや新商品のお知らせやリマインドを送るだけでなく、顧客の声を聞くことにも活用できます。
アプリを導入する
自社専用のスマートフォンアプリを開発し、顧客にダウンロードを促す手法です。小売業の集客施策として高い効果が期待でき、プッシュ通知機能で顧客との関係性も強化できます。前述のポイントカードやクーポン機能も容易に実装可能です。
データ収集機能により、効率的な施策展開にも活用できます。顧客の購買履歴や閲覧パターンなどの分析により、顧客ニーズや嗜好の深い理解が可能となり、個別最適化された商品提案やクーポン配信を実現できます。
小売店における売上アップの成功事例
クーポン活用で利用率200%増加
GMOおみせアプリを導入したフレスコ株式会社では、ニュース配信機能とクーポン機能を中心に活用し、顧客利用率を200%向上させる成果を上げました。アプリを通じたタイムリーな情報配信と訴求力の高いクーポン提供により、顧客の来店意欲を高め、売上拡大を実現しています。

アプリ企画で再来店率75%
株式会社小泉では、クーポン機能を活用したイベント企画により、再来店率75%を達成しました。景品をクーポン形式で配信することで、顧客の継続来店を効果的に促進し、リピーター獲得に成功しています。アプリを通じた顧客との継続的なコミュニケーションが、高い再来店率実現の要因となっています。

顧客とのつながりを増やしてリピーター集客強化
株式会社梅栄堂では、顧客管理機能を活用し、ターゲットを絞り込んだ精度の高いニュース配信を実現しました。スタンプ機能とランクアップシステムの導入により、顧客のブランドに対する愛着心を高め、リピーター集客の強化を達成しています。顧客データを活用した戦略的なマーケティング施策により、売上を伸ばしています。

まとめ
小売店の売上アップには、購入客数と客単価の改善が基本的な要素となります。実際の成功事例では、デジタルツールを活用した顧客との継続的なコミュニケーションが、顧客の来店意欲を高め、リピーター獲得へとつながったことが示されています。
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