OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの融合を意味します。
企業が利益を増やしたいと考えた時、まず始めに新規出店を検討することが多いでしょう。しかし近年IT技術の発達により、店舗アプリを導入しOMOに投資することで、新規出店をすることなく利益を増やすことも可能になりました。店舗アプリを導入してOMOを行うことで、企業側と顧客側両方にメリットがあります。
ここではOMOの事例として、BOPISを利用した店舗アプリ導入のメリットを解説していきます。BOPISとは、Buy Online Pick-up In Storeの略で、ECでオーダーした商品を店頭で受け取る仕組みのことです。
>参考記事:OMOとは?概念や実際の事例とO2O・オムニチャネルとの違い
OMOとは?
OMOとは、オフラインとオンラインの境界を取り除き、ひとつのものと捉えるマーケティング戦略の一種です。
すでに多くの企業が、このOMOを導入しています。店舗においては、オフライン・オンラインに関係なく複数のチャネルとして運営しながら、自社製品・サービスのPR活動と販売を行っています。
とくに中国は、世界に先駆けて最もOMOを発達させている国です。中国の都市部では、ショッピングをする際にスマートフォンを使った決済が当たり前になっています。
また、2020年以降コロナ禍によって、実店舗の販促が滞りつつあります。そうしたなかで、オフラインの見直しとして国内外にかかわらずOMO化が進んでいます。
このスマホ決済は、顧客にとって便利なだけではなく、企業側にも大きなメリットがあります。それは、今まで別々で行っていたオフラインとオンラインの顧客の行動分析や管理などを一元化できることです。
このように、中国ではOMOの導入による、精密な顧客の行動データを使ったマーケティング戦略が近年の主流になっています。
OMOとO2Oはオフライン重視かどうかで異なる
O2Oとは、「Online to Offline」の略称です。OMOと同様のマーケティング戦略で、オンライン・オフラインのどちらも活用します。
OMOとO2Oで異なるポイントは、「オフラインを重視しているかどうか」です。OMOは、オフラインとオンラインを融合させた戦略です。
一方のO2Oでは、あくまでオフラインを主軸としており、オンラインは顧客をオフラインへ誘導するための手段として捉えます。オフラインで使えるオンラインクーポンの配布がその一例です。
OMOとオムニチャンネルは主軸が異なる
オムニチャネルとは、オムニ(すべて)・チャネル(経路)という意味です。つまり、実店舗やWebサイトなどの店舗と、顧客が接する可能性のある経路すべてを活用して利益につなげるマーケティング戦略を指します。
オンラインとオフラインを区別していない点ではOMOと似た戦略ですが、何を主軸として考えるかという点に明確な違いがあります。
オムニチャネルの主軸は「顧客の購買行動」ですが、一方のOMOでは、「顧客の購買体験」に主軸が置かれています。
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OMO化がもたらすメリット
OMO化することで得られるメリットを2つ解説します。
LTVの最大化
OMOによって、顧客の購入体験を向上させることで、「Life Time Value」(顧客生涯価値)を最大化することが可能です。
顧客の購入体験が向上すると、多くの顧客が自社のリピーターになる可能性があります。リピーターが増えれば、より多くの商品を自社で購入する顧客が増加して、自社の継続的な利益につながります。
真のニーズの発見
OMOに対応することで、顧客が持つ真のニーズを発見できます。
例えば、店舗アプリの利用履歴と実店舗に訪れた際の行動履歴を組み合わせて分析することで、それぞれの顧客に最適化された情報を得ることが可能です。
真のニーズを把握することで、顧客に合わせたおすすめの商品・サービスの表示が可能となり、顧客の購入体験をさらに向上できます。
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OMO戦略を成功させるためのポイント
OMOによるマーケティング戦略を成功させるためのポイントについて解説します。
良質な顧客体験をデザインする
OMOの特徴は、オフラインとオンラインが融合することで生まれる新しい顧客体験です。
OMO戦略を成功させるためには、その顧客体験をより良質なものへとデザインしなければなりません。
良質な顧客体験をデザインするためには、顧客の視点に立って考察することから始めることがポイントです。その際、自社が現在提供しているサービスや他のサービスに対して、以下の点を確認しながら進めましょう。
- 不足しているものは何か
- その不足は補えるか
- それは補う必要があるか
これらを明確化することで、良質なデザインを作ることができます。
顧客との接点を増やす
OMO戦略においては、できるだけ多くのデータを集めることが鍵となります。
顧客のデータを集めるためには、実店舗や店舗アプリ、ECサイトなどの顧客との接点を作り出さなければなりません。そのためには、オフライン・オンラインの双方を活用して、接点を増やすための施策が必要です。
顧客データを一元管理する
顧客データの一元管理も、OMO戦略成功のポイントです。OMOの実現には、複数のICTを活用して、収集した膨大な顧客データを一元管理する必要があります。
その膨大なデータの保管先として、安価で扱えるクラウドストレージを採用することも効果的です。すでに自社システムの各所にデータが保管されている場合は、データの統合が重要課題となります。複数のチャネルでのデータを集計・連携させるツールを活用して、顧客データの一元管理を進めましょう。
OMO専任担当者を置く
OMO戦略を実行するためには、OMO専任の担当者を置くことが重要です。OMOは、実店舗や店舗アプリ、ECなどさまざまなチャネルを利用します。
そのため、各チャネルやICTの知識だけではなく、それらのチャネルを横断してデータを活用する方法や、オンラインをどのように活用して課題を解決するかという視点を持った担当者が必要です。
もちろん、担当者には複数の部門との連携が求められます。そのため、社内でのデータ連携ができる仕組みを構築することも欠かせません。
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BOPISによるOMOの事例紹介
マクドナルドのモバイルオーダーの事例
OMOの事例として、マクドナルドの取り組みをご紹介します。
マクドナルドは一部地域で取り入れていたモバイルオーダーを、2020年1月には全国展開しました。これはスマホを使って自宅で商品を注文し、実店舗で受け取るというものです。
モバイルオーダーを利用すれば、顧客は出来上がる頃に合わせて店舗に向かうことができ、店内での待ち時間がなくなるというメリットがあります。テイクアウトか店内で食べるかの選択はもちろん、店内で食べる場合は席まで商品を運んでもらうことも選択できます。来店前に決済が完了しているので、混雑時でもレジに並ぶことなくスムーズに商品を受け取ることが可能です。
事前注文の仕組みによって、これまでは並ぶ時間がなくて来店を避けていた人の来店機会が増えることが予想できます。
企業側にとっては、顧客の購入回数が増えるメリットがあります。また時間短縮により、顧客側の満足度が高くなることによる店舗の利用回数の増加も期待できます。このようなマクドナルドの取り組みは、顧客側の利便性を考えたサービスを提供することで、購入回数を増やして売上を伸ばす事例となっています。
ファッションセンターしまむらのオンラインストアの事例
ファッションセンターしまむらは、OMO化のために2020年10月に直営オンラインストアをオープンしました。しまむらの幅広い購買層の中には主婦が多く、忙しくて店に足を運ぶことができない、店に行っても子どもと一緒でゆっくり見ることができないなどの声が上がることもあったようです。
それに答える形として、オンラインストアでは基本的に実店舗と同じ品揃えの商品を提供していますが、実店舗にはないオンライン限定の商品も取り扱っています。
この取り組みは、実店舗だけを利用してきた人にもオンラインストアを利用することを促す効果があり、まさにOMO化のよい事例といえます。
また、オンラインストアで購入した商品を、実店舗で受け取ることができるBOPISも取り入れています。
オンラインストアで購入した商品を宅配で届けてもらうと送料がかかりますが、実店舗で受け取る場合は無料です。この点が顧客にとってのメリットです。さらに、実店舗に足を運んでもらうことで、店頭で他の商品も合わせて購入してもらえる可能性が高くなり、企業側には客単価の増加、売上向上に繋がるメリットがあります。物流コストの削減も期待できるでしょう。
ホームデポのアプリの事例
ホームセンターのホームデポは、新規出店ではなくOMO化によって売上を伸ばすことに成功しました。しまむらの事例のように、BOPISを取り入れてついで買いが増えたことも理由ですが、ホームデポの場合はとても便利な店舗アプリを提供している点にも注目すべきです。
特にペンキを選ぶ機能が優れていて、ペンキを塗りたい場所の写真を撮り、欲しい色の部分をタップすれば似た色のペンキを教えてくれるというものになっています。
さらに塗った場合のイメージ画像が表示される機能もあります。この機能によって、買ってみたけど実際の色とは違ったと後悔することがなくなり、顧客にとって商品を選びやすくなるメリットがあります。
もちろんアプリで在庫の確認や取り寄せもできるので、店頭で探し回る時間の短縮につながります。
顧客の利便性を高めて店舗もオンラインも利用回数を増やしてもらうためには、便利な店舗アプリの提供も必要不可欠です。
アリババのスーパーの事例
中国の企業のアリババが運営しているスーパーのフーマフレッシュは、OMO化に力を入れています。この店舗アプリは、必要な商品をまとめて購入できたり、1時間以内の配送が可能だったりと便利にオンラインの買い物ができるのはもちろん、実店舗に足を運びたくなるような工夫もされています。
例えば魚売り場では、生きたままの魚にQRコードが付けられていて、漁獲された場所などをアプリで確認することができます。決済はもちろん全てQRコードを利用した自動レジで行います。事前に注文しておいて、店舗で受け取るBOPISも利用可能です。
またアプリでは食材の運ばれてくる過程や、販売商品を使ったレシピなども見ることができ、顧客にとって便利なものとなっています。企業にとってのメリットは、顧客がアプリを通じて全ての決済を行っているので、購入に関するデータはアプリで全て把握でき、自社の経営戦略の効率化に繋がる点があります。
OMO化のために店舗アプリを導入しよう
ここで挙げた事例を見ると、OMOのためにはモバイルオーダーをはじめとしたBOPISが重要なポイントであることが分かります。BOPISを導入して利便性や業務効率を向上させるためには、店舗アプリが重要な役割を果たします。
店舗アプリはモバイルオーダー機能だけでなく、クーポンの配布などもできて顧客にとってのメリットが大きく、満足度の上昇が期待できます。
また、顧客の利用状況や購入履歴などが分析できて、効率的に集客効果を上げることもできるでしょう。OMOに課題をお持ちの場合は、店舗アプリの導入を検討してみてください。
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