ネットを使った新たな集客方法として、O2Oマーケティングが注目を集めています。しかし、言葉は聞いたことがあるものの、具体的にどのようなものかわからない、あるいはどうすれば成功できるのか知りたいという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここではO2Oマーケティングで実際に効果を上げた事例を紹介し、合わせて成功の秘訣についても解説していきます。
「O2Oマーケティング」とは?
O2Oマーケティングとは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。その詳細な意味と期待できる効果について説明します。
「O2Oマーケティング」の意味は?オムニチャネルとの違い
O2Oマーケティングとは「Online to Offline Marketing」の略で、オンラインで集客し、オフラインすなわち実店舗に誘導して購買行動につなげるというマーケティングの手法です。
実店舗への集客というと、かつては新聞の折り込み広告や街頭で配るチラシ、それに看板などの屋外広告がありました。その後、インターネットの普及に伴ってネット広告も盛んになりましたが、広告の流通量が爆発的に増えることによってかえって消費者の取捨選択を促し、必要でないとみなされた情報は切り捨てられてしまうこともあるという弊害が生まれています。
このように、単にネット広告を打つだけでは集客が難しくなってきた中で生まれたのが、O2Oマーケティングという新しい手法です。
O2Oマーケティングの代表的な例としては、SNSやECサイトでの情報発信やクーポンの配布が挙げられます。街を歩きながらスマホで情報やクーポンを入手してそのまま来店、という行動も促せるため、顧客誘導の方法としては非常に有効であるとして期待されています。
なお、類似した言葉にオムニチャネルというものがありますが、これは実店舗やネットショップ、SNSやマスメディア、そして屋外広告などすべてのチャネルを統合したアプローチで顧客を囲い込もうとする手法です。それに対し、O2Oマーケティングはあくまでもネットから実店舗へ誘導するための手段ですので、混同しないようにしましょう。
O2Oで期待できる効果
チラシなどオフラインの施策では、情報に触れてから来店するまでの間にタイムラグが発生するため、広告効果は限定的なものでした。例えば、朝に家でチラシを見ても出かけている間に忘れてしまうといった具合です。
しかし、ネットであれば位置情報が利用できるため、ユーザーが店舗の近くにいるときに情報を発信するということが可能になります。情報を見てすぐに最寄りの店舗に行くことができるため、ユーザーの来店行動を促しやすくなり集客効果が高まります。
また、データの取得ができるというのもオンラインならではの強みです。情報を配信したユーザーのうち何人が実際に来店したか、実際に何を購入したかといったデータが取れるため効果測定がしやすく、さらには顧客一人一人の好みに合わせた「One to Oneマーケティング」も可能になります。
O2Oマーケティングの事例
続いて、O2Oマーケティングを効果的に取り入れている各社の事例をご紹介します。
アプリでクーポンを発行
まずは、アパレル大手のユニクロです。
ユニクロでは自社アプリで割引クーポンを発行しており、実店舗で買い物をする際にはレジでクーポンのバーコードをスマホで表示し、スキャンすることで割引が受けられるようになっています。
プッシュ通知をオンにしておけば、クーポンが配信されたときにユーザーはすぐに気づくことができます。また、支払い時にクーポンが当たるゲームに参加できるなど、来店意欲を高める仕組みも取り入れているのが特徴です。アプリでは、店舗検索や店舗の商品在庫確認もできるなど利便性を高めています。
家電量販店のヤマダ電機には「ケイタイde安心」という公式アプリがあり、割引クーポンの配布や店舗チラシの閲覧、ポイントカード機能など多彩な機能を搭載しています。
クーポンを都度配信しているユニクロとは異なり、ヤマダ電機の場合はアプリの「今週のお得クーポン・キャンペーン」メニューを見れば、常に数種類のクーポンが表示されるのが特徴です。
特定のジャンルの家電製品に使えるクーポンが期間限定で表示されるほか、電池やSDカードなど日常よく使う消耗品に使えるクーポンは常に表示されているので、いつでも使えて便利です。
位置情報の活用で近くのユーザーを集客
GUはユニクロと同じファーストリテイリンググループのアパレルショップですが、O2Oマーケティングに関してはユニクロと少し違ったアプローチを行っています。
GUの最大の特徴は、位置情報を活用して店舗から10km以内にいるユーザーにその店舗のセールやイベントの情報を配信している点です。
クーポンに関しては、ユニクロと同じく公式サイトで配布するほか、「シェイククーポン」というユニークな企画も行っています。これは店舗内で指定の画面を開いてシェイクするとクーポンが当たるというものです。他にも期間限定でクーポンが当たる様々なキャンペーンを行うなど、遊び心を取り入れた施策でメインユーザーである若者層の支持を得て、公式アプリは高い利用率を誇っています。
SNSによる企画や情報発信
100円ショップのダイソーでは、SNSを有効活用しています。
100円ショップは元々の価格が安いため、クーポンの配布は行っていませんが、その代わりにLINE@で詳しい商品情報を提供しています。ダイソーは頻繁に新商品を発売しているため、ユーザーがそれを毎回自分の目で確認するのは困難です。それをLINE@で配信することで利便性を高めると同時に、ユーザーの興味も喚起しています。
その結果、ユーザーからの問い合わせが増加するといった効果も出ており、値引きをせずに販促するという一つの実例になっています。
宅配ピザチェーンのドミノピザでは、ネットを使ったキャンペーンが盛んです。
Facebookでのクーポン配布キャンペーンでは、くじで当たるクーポンが50%引きから25円引きまでというゲーム性を持たせ、ユーザーの興味を引いています。また、TwitterやInstagramではハッシュタグを使ったキャンペーンを行い、その拡散力の高さを新商品のプロモーションに生かしています。
ECサイトとの連動
実店舗とECサイトにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがありますが、両者をつなげて双方のメリットを最大限に生かしている例もあります。
まず、ジュンク堂書店ではオンライン書店のhontoと提携し、Web上で在庫確認した本を実店舗で取り置きするというサービスを行っています。
ユーザーにとっては店舗で探し回る手間がなく確実に欲しい本が手に入りますし、書店側にとっては来店した際に他の本も手に取ってもらえるというのがメリットです。
東急ハンズでは、ECサイトから各店舗の在庫を確認できるサービスを提供しています。
お店に行ったら欲しい商品が売り切れだったというのはユーザーにとって残念な体験ですが、このサービスを利用すればその心配はありません。在庫情報は15分に1回更新されているためリアルタイム性が高く、同時に今売れている商品を刻々と表示することで来店意欲を高めています。
人気セレクトショップのユナイテッドアローズには、公式ECサイトの「UAオンラインストア」で取り置きをして実店舗で商品を受け取るサービスがあります。
実店舗では試着をしてから購入することができ、またスタッフからコーディネートのアドバイスを受けることも可能です。アパレルの場合、試着できないというのがネットショップの弱みですが、これは実店舗と合わせることでうまく克服した例といえます。
事例から見るO2Oマーケティング成功の秘訣
O2Oマーケティングで大切なのは、長期的にリピーターを育成するという意識です。
クーポンの発行やイベントの企画などは短期間で集客につなげることができますが、せっかく得た顧客を一度で手放してしまうのは得策ではありません。その後も価値のある情報を提供してつながりを持ち続けることが大切で、ユニクロのプッシュ型配信やダイソーのLINE@活用などはその好例と言えるでしょう。
また、さらに一歩進めてOMO(Online Merges with Offline)の意識を持つことも大切です。これはオンラインとオフラインを区切って考えず、両者を統合して最高の顧客体験を与えるという考え方です。ECサイトと実店舗を連携したサービスを展開しているジュンク堂書店やユナイテッドアローズがその代表的な例と言えます。
O2Oマーケティングで集客とリピーター育成を
O2Oマーケティングはうまく取り入れることで見込み客を広く獲得し、継続的に価値を与え続けていくことでリピーターを育成することもできる手法です。その具体的な方法には店舗アプリの導入やSNSの活用、ECサイトの運用見直しなど様々なものがあります。まずは小さな規模からスタートし、成功を重ねながら新たな戦略を展開していきましょう。
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